2009年08月16日
「鳴かぬ蛍が身を焦がす」は諺かな?
何気なく見ていた「平成教育学院」というクイズ番組のなかで虫のことわざに関する問題が出ていたのですが「鳴く蝉よりも 鳴かぬ蛍が身を焦がす」という俗謡をことわざとして紹介していました・・・「蝉」と「蛍」を伏字にしていて当てさせる問題だったのですが正解者は一人もいませんでした。
大体この言葉が諺と言えるのでしょうか?以前別のブログに書いたことがあるんですが
「松の葉」という元禄時代に刊行された歌謡集があります。当時の三味線歌謡を集大成したものですがその中の歌
声に現われ泣く虫よりも
言わで蛍の身をこがす
他に
恋に焦がれて鳴く蝉よりも 鳴かぬ蛍が身を焦がす
山家鳥虫歌(山城)
などもありますが池田弥三郎さんによるとこれらの元歌は閑吟集の
我が恋は、水に燃え立つ蛍、水に燃え立つ蛍、
物言わで笑止の蛍
だそうですが、いずれにしろ「言わぬ恋は言う恋に勝る」という考え方がずっと以前からあるんでしょう、「忍ぶ恋」の流れですね。
和歌や古歌の一説を「ことわざ」で一括りにするのはどうかと思いますね・・・最近はテレビのクイズ番組等で故事・言い伝え・成語なども全て「ことわざ」にしているものですから「赤子の手をひねる」などもことわざとして出てきますがこれは慣用句であり「ことわざ」とは言いませんよね